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【コラム】「足」への本当の優しさとは

更新日:2020年11月30日

2020/11/2


みなさん、こんにちは、ZONEアカデミーのWataruです。


時折、携帯電話が教えてくれる今日と同じ日付、あの頃あなたはどこにいましたねっ、と数年前の写真を通知してくれますよね。

それによれば、2018年の今頃はFascia Research Congress(世界膜研究学会)に出席するためドイツのベルリンへに行っていました。

学習や人の交流の形が大きく変化した今となっては懐かしさすら感じます。




同学会の数ある講演のなかでも印象深かったものを思い出していました。

満員の会場のステージに登壇したのが 人類進化生物学者でHarvard大学教授のダニエル・E・リーバーマン氏でした。

興味があって進めてきた膜・筋膜の勉強と、私自身が足の骨折を経験して以来、経験した様々な不調から関心があるのが「足」です。

その足についての話とあって前のめりで聴き入っていたのを覚えています。

人類の進化と足の関係を調査する為、訪れていたアフリカ各地から戻ったばかりのリーバーマン氏は「アフリカには足のアーチ(足弓)が高すぎる、低くすぎるなどという現象はみられなかった」「欧米や先進国と言われる国の人々の足の方が足弓としては脆弱だ」との話がありました。



<クッション性がある靴は身体の負担を軽くするのか?>

リーバーマン氏は「クッション性の高いスニーカーで走ることは、裸足で走るのに比べて、地面を蹴ることを難しくする」という考えを2010年に発表しました。


その後の最新の考えを直接聞ける機会となりました。


自身も春のボストンマラソンに参加しているそうです。

その足元はミニマル・シューズです。

素足に近い状態で、靴底は薄く、ゼロドップと言われる、踵部分からつま先にかけての傾斜がないもので、クッション性などを備えたものとは真逆の靴です。

「角質が硬くなりタコもできたが、地面を感じる感覚はしっかりあった」というのが感想でした。ケニアを含む様々な国と地域で足底筋膜をはじめとする結合組織の硬さを、靴を履き暮らす人と素足で暮らす人との調査からも足底に炎症をおこすのは足底の組織が弱く、柔らかいからでは、と考えているとのことでした。


<進化し続ける靴>

2019年のNatureで発表の論文には、足の皮膚の厚さと、足が備えるべき触覚の繊細さは相関しないというものです。厚いから、感覚が鈍くなるというものではないということです。またリーバーマン氏によれば「クッション性の高い靴を履く場合、裸足の時に比べて膝へ伝達されるエネルギーは3倍になる」と言います。


最近ではマラソンシューズでもその使用が禁止されるほど高い弾力性が注目される靴が開発され、こぞって選手が履いているというニュースがありました。

タイムを1秒でも縮める為の技術革新ではありますが、体への影響はどうなのでしょう?


過去、欧米では第二次大戦ごろ膝の関節炎を訴えるケースが倍増した事と、当時靴の技術が飛躍的に発展し、クッション性が向上した事が関係しているのではとの仮説を唱えるものもあるそうです。

<「ミスマッチ」が引き起こす退化?>

環境や役割の観点から、足が進化の過程で備えた機能性と構造があると思います。その本来の姿とおかれる環境との矛盾こそが本来の機能を退化させていくのでしょう。

素足での最適の機能性は靴の中という環境下で付加されたクッション性と共に変化し、それに伴って身体の様々不調をきたす一因となっていると考えます。

足底筋膜だけでなく、腸経靭帯についても言える事です。

チンパンジーを起源に人へと進化した過程と特性を含む視点から考えると面白いことばかりです。


<足は硬くもあり、かつ柔軟で繊細であるべき器官>

足底筋膜に代表される結合組織は硬く張りつめ、弾性エネルギーで強力な推進力となる事で歩行を可能にします。

同時に、口腔と同等とも言われるほど繊細に環境を敏感に感知してバランスをとり固有感覚により空間での均整を保ちます。

膜の観点からも、感覚器として繊細に、かつ弾性のエネルギーとして力強くあるべきなのが足なのです。


ピラティスのセッションの様子を思い浮かべると、靴を履かずに色々な支持面上でエクササイズを展開しますよね。

足が本来の姿で動く時間となっていて足が喜んでいる?と思います。

専用のシューズを履いてエクササイズやスポーツをする機会がほとんどであることを思えば、とても稀有な時間と言えます。

<じゃ靴は履くなということか?>

前掲のリーバーマン氏も靴を履くことを否定しているわけではない点は強調しています。靴のクッション性や、インソールなど、中には疾患を治療する目的で必要な場合もあるでしょう。靴の果たす役割、関係に関する理解を深める必要があると考えています。

私自身、ここ数年靴底わずか1、2㎝程の厚みの柔らかく、クッション性が加られていない靴ばかりを履くことを実践しています。地面の起伏を感じ、足から伝達される衝撃を噛みしめるように歩いています。今ではクッションが効いて、踵の高い靴をたまに履くと調子が悪くなります。

<だから僕が勝手にしていること>



こちらはある日の我が家の玄関に並んだ靴です。

小学生の我が子も地下足袋で通学しています。靴底にかっこいいスパイクがついたり、横から見ると踵に空気の入った小窓が見えたりするのが子供としては嬉しいのだろうけど。。。今では足袋しか履いていません。

「早く走れる」「バランスがとれる」といって最近は木登りしています。

この時代にあっても高所の限られた足場で作業なさる鳶職の方々が今だに

足袋を好んで履かれるのもうなずけます。

あくまでも個人の感想と見解ですので誰しもにお勧めしたいという話では決してありありません。


構造の特性を理解しながら、適切な環境を選択することが機能的な動きを引き出すだろうということ。

そして、足に関してはときには適切に刺激をしてあげることが本当にいたわり、ケアしているという事になるのではと考えています。

本当の優しさは本来の姿でのびのびと動かすことなのかもしれません。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。


でも地下足袋はちょっとなぁ。ファッションと健康の両立も大事だ!っというあなたへはこんなサイトもあります。

(これらサイトとは私は全く関係がありません。お買い物の際は自己責任でお願いします。)

https://www.vivobarefoot.com/uk

https://www.lemsshoes.com/

https://www.wildling.shoes/en

https://xeroshoes.com/


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